Bitter Chocolate
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「お久しぶりですね?
ヒカリに何か?」

惠佑の顔は明らかに怒っているようにヒカリには見えたが
口調は怖いくらいに丁寧で冷静だった。

「惠佑くん、違うの。要さんは偶然この店に来ただけ。」

「そうか。
…ヒカリ、出よう。」

惠佑はヒカリの手を取り、席をたたせると
要に軽く会釈して店を出ていった。

惠佑は無言のままヒカリの手を引き、大通りまで歩いていく。

繋いだ手に力が入ってヒカリが
「痛い。」
と言った。

「あぁ、ごめん。」

惠佑は要について何も話さなかったが
ヒカリにはわかっている。

惠佑は要に対して激しい嫉妬をしている。

「惠佑くん…ホントに偶然だから。

もう何とも思ってないから。」

「気にしてないって。」

惠佑はタクシーを止めようと手をあげた。

「惠佑くん…」

「ヒカリ、何も言わないで。
ホントに気にしてない。」

「でも…」

「何も言うなって言ってるだろ!」

惠佑が突然声を荒げたのでヒカリは口を閉ざした。

「ごめん。帰ろう。」

タクシーがちょうど止まって惠佑はヒカリを車に乗せた。

「どこでもいいから近くのホテルまで。」

「はい。」

ヒカリは家に帰るとばかり思っていたが
惠佑はヒカリを帰したくなかった。

「惠佑くん…」

「今夜は一緒に泊まろう。いいよな?」

ヒカリは断ることが出来ずに頷いた。

ヒカリが要に会ったことで惠佑が傷ついているのがわかったからだ。

「ここで宜しいですか?

それとも普通のホテルに行きましょうか?」

タクシーの運転手が連れていったのは
ネオンがきらびやかなラブホテルだった。

「ここでいいです。」

ヒカリは少し躊躇ったか惠佑についていった。

「こういうとこはイヤ?」

「ううん。大丈夫。」

部屋の中はガラス張りでスワロフスキーで飾られている。
真ん中に大きなジャグジー付きのバスタブがあって
バスルームの壁もバスタブも全て透明で外から丸見えだった。

ベッドは横にあって寝転んだままバスルームの中の様子が見えた。

「何か…スゴいね。」

ベッドに寝転んだ惠佑はその部屋の豪華さに少し面食らって笑っていた。

「うん…スゴいね。」

ヒカリも笑ってしまった。

そして惠佑がヒカリにキスをして

「あの中でしよう。」

とジャグジーを指差した。

「お湯張ってくるね。」

ヒカリはジャグジーにお湯をはり、
惠佑はそのヒカリの姿をベッドから見ていた。

そしてヒカリに向かって小さな声で呟いた。

「ヒカリ…愛してるよ。」

ヒカリはバスルームの中から惠佑の方を振り向いて笑顔を見せた。

ヒカリがバスルームから出てくると惠佑はもう一度キスをして
ヒカリの服を1枚1枚脱がしていく。

ヒカリは恥ずかしそうに黙って惠佑に従った。

惠佑はヒカリの身体に唇を押し付け強く吸うと
赤い痕がついた。

まるでヒカリが自分のものだと判を押すように
ヒカリの身体中に印をつけていった。











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