飛行機雲
「…巫女ちゃん…翼のこと、好きだったの…?」
静かに、扉を開けて、
前にいた巫女ちゃんに問いかけた。
「爽菊…」
「…愛ちゃん!」
屋上にいた私に驚いて、
翼と巫女ちゃんは
話を止めた。
…なんで…?
私には、言えないこと…?
今の話からすると…巫女ちゃんは……
翼のこと…
「ち、違うの!愛ちゃん!待って」
聞きたくなくて。
絶対に聞きたくなくて、
そう思った時には、階段を駆け下りてた。
巫女ちゃんの声さえも、
ううん。
大好きなひとの、
呼ぶ声も聞かないで
ただ、ただ信じたくなくて。
それだけが私の足を動かした。
一度溢れた涙が止まらなかった。