飛行機雲
「…じゃあ俺帰るね」
そう言った翼は、ジャンパーを肩にかけて
玄関へ向かった。
私が泣き終わっても、
しばらく私を笑顔にしてくれた。
わざとふざけたこと言って、
笑わせてくれた。
…もう、具合悪いのなんて、
治っちゃったよ…
「…私…今日翼と話せて、よかったよ…」
白い息をはきながら、
帰ろうとしていた翼に言った。
「…うん、それなら俺も来てよかった!」
何事もなかったかのように、
優しく、そして強く、
笑った。