飛行機雲
「さっきは、ありがとう」
沈黙を破って、お礼を言った。
あのとき、
巫女が明るくふるまってくれなかったら、
私…泣いてたかも…
「私、お礼言われるようなこと、してない」
やけに硬い表情で、巫女が言った。
「勝手に悪い方向に考えちゃだめだよ?
愛はフラレてなんかない。神崎に直接、何か言われたわけじゃない。私が勝手なことしちゃっただけで、愛が悲しくなる必要全くないよ!」
巫女は真剣な表情だった。
…でも…わたし…
「こんなこと言う権利…ないと思うけど、そんな悲しい顔するのは、自分で気持ち言って、受け止めてもらえなかったらにしてほしい……。愛は…何も、悲しむことないよ…」