飛行機雲
「俺な、海外に行くんだ」
落ち着いた翼は、砂浜に座り、
平然とそう言った。
海外…?
…行くって、翼が?…
「ぇ…?海外って…旅行とかじゃなくて…?
あはっうそだぁー…」
本当に嘘だと思ったんじゃない。
翼は、つまんない嘘はつかないから。
ただ、私が、
嘘であってほしいと思ったから。
嘘って言って…
嘘だよって笑って…
「…実はもうずっと前から決まってて、向こうで暮らすことになる。
…父さんの仕事の都合上、必要な海外転勤なんだ…だからもう、こっちには戻ってこれないって言われてる。」