そして目覚めの口づけを
「にこまえ…?」


ハテ?と思いつつ私は記憶を手繰り寄せる。

何せこの上ない安堵感、高揚感により、かなり浮かれながら言葉を繰り出していたもんだから正直何を口走ったかリアルタイムではきちんと認識していなかったんだけど…。


えっと、確かプライベート以外では真の姿を見せることはないっていう貴志さんの宣言に、それなら私以外に彼の魅力に気付く人はいないな、他に彼を好きになる人が出て来る確率は限りなくゼロに近いな、と判断してその本音を吐露して…。


……………えっ?


好き!?


「ええぇぇぇええーー!!」


私はそこでようやく自分の失言に気付き雄叫びを上げた。


「イヤーーー!ちょ、何を言わせるんですか貴志さん!」

「いやいや、君が自ら率先して言ったんだろ」


貴志さんは呆れ顔で反論した。

そしてため息を吐きながらお掃除スティックをダイニングテーブルに立て掛けると、素早く数歩移動して私との距離を詰め、言葉を発する。


「まったく……。近いうちに言うつもりで心の準備をしていたのに」

「え?」

「俺も好きだよ」


真っ直ぐに、私の瞳を見つめながら。


「とっくの昔に、君のことが好きだった」

「えっ…」


私は短くそう叫び、思わず両手で口元を覆ったけれど、ふいにその事実に気が付いてしまい、直ぐ様物申した。
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