君は夜になく
帆乃香とすみれちゃんたちの視線があたしに向いてることは分かってたけど、ふと周りの雑音が一斉に耳に入ってきて頭が痛くなった。
「真夜、あのさ」
見かねたすみれちゃんが声を発したそのタイミングで、チャイムが鳴った。
それと同時に、雑音が弾けて、なぜかそれにホッとしてしまった。
ひそかに聞いていたギャラリーたちは早々に散り、帆乃香も不服そうな顔をして、
「帰り、来るから。」
と言って自分の教室に戻っていった。
そうなると、ここに残るのは気まずい空気。
「あの、すみれちゃん…」
「なに、あの自己中。信じられない。真夜もほんと大変だよね、よくあんなのに耐えられるわ。」
すみれちゃんが怒ることが嬉しいはずなのに、胸にモヤがかかって消えてくれない。
濁った音が、自分の中で蠢いている。
「そう、かな?」
中途半端な答えが、自分で気持ち悪いと思った。
「今日は行くの止めとく?」
薫ちゃんの声には労りが含まれているのに、あたしの心はひりついてしまう。
やっぱり、友達できないパターンだこれ。
と思ったら、先生が来る直前にすみれちゃんが意地悪そうな顔をして言い放った。
「まあ、今度あいつが風邪の時にでも行こう。」
すみれちゃんが帆乃香を嫌いなことがよく分かったけど、あたしはなんとなく、そうだね、とは言えずに笑って流してしまった。