お前しか見えてないから。*特別番外編*
まじまじと鈴を見つめる私。
赤いひもを持って、ブラブラ揺らすと、チリンチリンと耳に心地よい音がする。
それを聞いてるだけでなんだかうれしくなって、まるでその鈴が私に「買って」と言っているような気がしてきた。
……よし、これは買おう。決めた。
だけどそんな時うしろから声がして。
「なにそれ、欲しいの?」
ドキッとして振り返ると、そこにはいつの間にかナツくんが立っていた。
私が持っている鈴を見て、クスリと笑う彼。
「“すずな”だけに、鈴?」
そう言われるとなんだかダジャレみたいで恥ずかしかったけど、そのとおりだからコクリとうなずいた。
「う…うん//
鈴…好きなの」
「へぇー、いいじゃん。
幸せの鈴なんだな、これ」
「そ……そうみたい」
すると、その鈴のコーナーをじっと見ながら、青いひもの鈴を手に取る彼。
……あれ?
「じゃあ俺もこれ、買おうかな」