いつか必ずあなたの心掴むから
「影・・私のバージン貰って欲しかったのに」


と私はつぶやいた。


影は背中を向けてぐっすり眠っている。


私はその影の背中にピッタリとくっついた。


「影、好きだよ」


そう言って目を閉じた。




次の朝。


私と影は1週間振りに外へ出た。


天気は快晴。


駐車場に行くと影は


「俺のマシン。やっと乗れる」


とバイクに触って話しかけていた。


影は私にヘルメットを渡した。


私は影の後ろに乗った。


「よし、行くぞ!」


とバイクは走った。


私は影の背中にピッタリくっついた。


やっぱり影の背中は気持ちいい。


青い空に吸い込まれるように走って行った。




アパートの前にバイクは止まった。


「影、ありがとう」


と私が言うと、


「静、ありがとう」


と影は私の名前を呼んでくれた。


そして、


「ライン交換しよう」


と言われた。


私は目を見張った。


「なんだよ、嫌ならいいよ」


と影は横を向いた。


「嫌な訳ないじゃない!待って待って」


と私は慌てて鞄の中を探した。


「あれれ?」


「どうした?」


「忘れて来たみたい・・」


と私は怒られると思って影を見た。


でも、影はちっとも怒っていなかった。



「乗れよ、一緒に帰ろう」


と影は私の手を取った。


マシンは爆音を立てて走った。




「せっかく帰してやったのに!もう帰さねーからな!!」


と影は言ったが当然私の耳には聞こえていなかった。



ただ、朝の空気と影の背中が気持ち良かった。



私は心に誓った。



いつか絶対あなたの心掴むから!











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