私、今から詐欺師になります
「な、なんだか怖いからです」
と言うと、そうか、と言って、秀行は居なくなる。

 気配が消えたことに一瞬、ホッとしてしまったが、簡単に諦めるような男ではないと知っていた。

 窓の方を窺うが、まだ閉めていなかったカーテンの向こうに人影はない。

 っていうか、此処、二階だし。

 と思った次の瞬間、ガチャリと鍵が開いた。

 なんでーっ!? と思わず叫ぶ。

「莫迦か、お前は。
 こんな鍵、コインがあったら簡単に開くだろ」

 ひーっ。
 業者を訴えてやるーっ。

 とりあえず、えいっ、と手にしていたクッションを投げつけてみた。

 だが、悪魔の進軍は止まらない。

 そこらにあったぬいぐるみなどを、可哀想だが、投げつけてみたのだが、秀行は笑いながら、近づいてくる。

 怖いよっ。
 そこらのホラーより、怖いよっ。

「茅野」

 ついに腕をつかまれた。
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