私、今から詐欺師になります
 茅野は身をすくめ、
「ごめんなさい。
 ごめんなさいっ。

 明日はちゃんとご飯作りますーっ」
と叫ぶ。

「いや……そこじゃないだろ。
 俺が怒ってるの」

 そう言ったあとで、秀行は茅野を引き寄せ、抱き締める。

「抵抗する女というのもなかなかいいが。

 いい加減にしとけよ。
 本気でお前の親の会社潰すぞ」

「卑怯者っ。
 悪代官っ!」

 自分でも、いや、なに言ってんだ、と思っていたが、他に、いい罵りの言葉が思い浮かばなかった。

 心の何処かに、でも、秀行さんには世話になってるしな、という感謝の念があるのも事実だった。

 何故かそこで笑った秀行はベッドに腰掛けると、茅野の腕を引いて膝に座らせた。

「大丈夫だ、茅野。
 お前は本当は俺が好きなんだ」

 そう言いながら、頬に触れてきた。

「最初が最初だったから、照れてるだけだ」
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