私、今から詐欺師になります
 中に居た玲がひょい、と茅野の髪を持ち上げ、首筋を見る。

「あ、へー、なるほど」
と言うので、慌てて、その手を払った。

「まあ、夫婦だもんね」

 うう……。

「そ、そうなんです。
 私、穂積さんに結婚詐欺を仕掛けようとしている身の上でありながら、秀行さんに汚されてしまいました」

「いや……最初から汚されてたろ」
と言うありがたいんだかなんだかわからない言葉が返ってくる。

 そ、そうですよね。

 そうなんですよね。

 まあ、結婚詐欺師ごときがどうなろうと、貴方には興味のないことですよね、と思っていると、穂積は、
「そんなことはわかってる。
 いちいち報告して来ないくていい」
とイライラと言ってきた。

「あれ?
 お兄ちゃん、妬いてんの?」
と玲が笑う。

「そんなことはないが。

 お前は旦那が嫌いなんだろ?
 今後そんな目に遭いたくないのなら、もう家には帰るなよ」

「えっ、でも、それは……」
 
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