私、今から詐欺師になります
 ところが、秀行は、穂積に対して怒るどころか。

「……お前、古島穂積に結婚してくれと言ったのか。
 無理に決まってるだろう」
と言い出した。

「古島穂積がお前なんか相手にするわけないだろ?」

 いや……何故、妻より穂積さんの方が高評価ですか。

「穂積は――っ」

 これが手だったのか、本気なのか。
 思わず、反論しかける玲の足を踏む。

 てっ、と玲がこちらを見た隙に言った。

「貴方に、結婚詐欺をして来いって言われたあと、エレベーターに乗ろうとしたら、古島社長がいらっしゃったんです。

 このまま帰ったら、貴方に笑われると思った私は、古島社長に声をかけました。

 古島社長はすぐにおかしいと思われて」
と言うと、そりゃ、思うだろ、という顔を秀行はしていた。

「事情を話したら、自由になるために、貴方への借金を返済したいという私を哀れんで、古島社長が雇ってくださったんです」

「日給五千円でか。
 まあ、お前なら、五千円でも高すぎるか」

 いい奴だな、古島、と言い出す。

「なに言ってるんだよ、茅野ちゃんはよくやってるよ」
とまた玲がフォローを入れてくれる。
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