私、今から詐欺師になります
 




「お帰りなさい。
 今日はカレーです」

 ダイニングで出迎えた茅野がそう言うと、秀行は、
「……また、コンビニのか」
と言ってきた。

「いいえ。
 自分で作ったんです。

 ライスですか、ナンですか?」

「……じゃあ、ナンで」

 はーい、とキッチンに戻ると、秀行が言ってくる。

「俺は心底お前が恐ろしいぞ。
 なにしゃあしゃあといつものように出迎えてんだ」

「だって、なにもやましいことはありませんもん。
 私、働いてるって言ってありましたよね?」

「古島のところでとは言わなかっただろ?

 古島に結婚してくれと言ったとも言わなかった」

「でもそれ、貴方のご要望通りにやったことですよ。

 金持ちそうなイケメンに、結婚詐欺を持ちかけろと貴方が言ったんじゃないですか」

 秀行が口を開きかける。

「飲み物はなんにしますか?

 マンゴーラッシーですか?
 珈琲か、えーと、はと麦茶……」
とキッチンを振り返りながら言うと、

「何故突然、そこで、はと麦茶だ」
と言われる。
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