私、今から詐欺師になります
 



「何処でなにしゃべってんのっ。
 包み隠さずしゃべりたいなら此処にしてっ」

 もう女子トイレにはついてってあげられないからっ、と玲は言う。

「そうか。
 寂しいですね。

 もうお手洗いもひとりで行かなくてはいけないんですね」

「うん。
 あの、そこんところはいいんじゃない?

 幼稚園児じゃないし。

 正直言って、僕、男だから、女の子の集団で行きたい気持ちはよくわからないんだよね」

 そこで話すのは好きだけどね、と言う。

 思わぬ本音が聞けたり、聞こえたりするからだ。

 最初は更に女性不審になりそうだったが、今は、一周回って、可愛いと思ったりもする。

 いろいろこの人たちも我慢してるんだな、と思って。

「茅野ちゃん、さっきなにを言おうとしたの?」

「穂積さんは自分も秀行さんも所詮、似たような人間かもしれないとおっしゃったんですが。
 私には全然違って感じられます。

 秀行さんにキスされても、あんなにドキドキしませんでしたから」
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