私、今から詐欺師になります
 既に言い負かされそうな感じを受けていた。

 だが――。

「だ、駄目です。
 やっぱり」
と茅野は穂積を押し返す。

「これは……法律的には、犯罪ではないのでしょうか」

「江戸時代ならな」

 まあ、浮気をしたら、姦夫姦婦を二つ重ねて四つに斬っていたそうだからな、と思った。

 ふと気づいたように穂積が言い出す。

「要するに、茂野秀行という存在がこの世に居なければいいということだよな?」

「はい?」

「よし、茂野をこの世から葬ろう」

 そう言い、立ち上がりかける穂積の服の裾を茅野は慌てて引いた。

「ま、待ってくださいっ」

 だが、穂積は茅野を見下ろし、言ってくる。

「駄目だ。
 茂野の言う通り、俺もあいつと変わらない。

 このままお前が手に入らなかったら、俺がお前のストーカーになりそうだ」

 いやあの……、ストーカーの方が殺人犯より幾分かマシかな~と思うのですが。
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