私、今から詐欺師になります
「でも、貴方がストーカーになられても、なんだか秀行さんのときとは違う感じがするのですが」

 そう茅野は言った。

 何故だろう。
 ストーカーになりそうだと言われても嫌じゃないというか。

 穂積さんになら、友だちと食事に行っている先に現れられても、ただ、照れるだけで、怖いとか思ったりしなさそうだ。

 そんなことを考えていると、
「茅野」
と穂積が呼びかけてきた。

「わかった。
 茂野とのことがハッキリするまで、お前には触らないから」

「は、はいっ」

 そう見つめて頷くと、穂積は笑う。

 わー、どうしよう。
 いつまでも見ていたいような顔だ。

 そのとき、ソファに片膝をついた穂積が、背もたれに手をかけ、唇を重ねてきた。

 離れた穂積に訴える。

「えーと……あの。
 さっき触らないとおっしゃったような」

「触ってない」

 えーと、まあ、そうですかね。
 手では触ってないですかね?
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