私、今から詐欺師になります




 夜、茅野は、爆睡していた。

 毎日、精神的に大忙しなせいだろうか。

 だが、人の気配を感じて、目を覚ます。

 部屋の中で、なにかが動く気配があった。

 ベッドの足許になにか居る?

 薄くもれ入る月の明かりと、ドアの下から差し込む廊下の明かりでその姿を窺おうとしたとき、そのなにかが口をきいた。

「ただいま」

 ひいーっ。
 霊っ!? と起き上がった茅野は、そこにあった枕を投げつける。

「こらっ」
と怒られ、明かりをつけられた。

 秀行が立っている。

「旦那様をお出迎えもせず、爆睡しているとは何事だ、茅野」

「……びっくりするじゃないですか。
 霊かと思いましたよ」

 ほっとした茅野は正座をし、両手をついて、頭を下げた。

「お帰りなさいませ。
 おやすみなさい」

 そのまま、布団に潜り込むと、こらっ、と剥がされる。
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