私、今から詐欺師になります
「なんだその態度はっ」
と肩をつかんで、正面を向かされた。

 間近にある秀行の顔に向かい、問う。

「あれっ?
 そう言えば、鍵は?」

 部屋のドアには鍵がかかっていたはずだが、と思っていると、
「……壊したに決まってるだろう」
と言う。

「あのー、秀行さん」
「なんだ」

「離婚してください」

「話がループしてるぞ。
 離婚はしない。

 嫌なら、十億、古島から引き出して来い」

「金額増えてますよっ!?」
と飛び起きようとしたが、片手で額を押さえられる。

「まあ、お前に十億の価値はないだろうがな」
と笑う秀行に言い返す。

「じゃあ、貴方にとっても、私はそんな価値ないでしょう?
 私、何処かでどうにかして稼いできますから、離婚してくださいっ」

「十億をかっ!?」

「頑張りますっ」
「なにをどう頑張るっ」

「今も、毎日、違う売り場で宝くじを買っていますっ」

「……そういう頑張り方か」
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