私、今から詐欺師になります
「おはようゴザイマス」
茅野ではないが、玲も一応、朝、穂積の許に挨拶に来る。
ちらと目だけをパソコンの画面から上げ、おはよう、と言うと、
「おにーちゃん、なにしてんの?」
と、玲は、ひょいと横から覗いてきた。
「個人資産の点検だ」
「……もしかして、七億出すつもり? 茂野社長に」
穂積は答えない。
腰に手をやり、ふーん、まあ、いいけどね、と言った玲は、
「ああ。
でも、昨夜、十億に跳ね上がったみたいだよ」
と言う。
また、なにをしたんだ、茅野……。
「七億かあ。
厳しいねえ。
個人資産とはいえ、いざと言うときのために、とっといた方がいいと思うけど」
会社傾いても知らないよー、と言われる。
確かに。
だが、茂野に出せて、俺に出せないということはあるまい、と思う。
まあ、向こうは会社の金も流用したのかもしれないが。
此処で出せなかったら、茅野に愛を疑われそうだ、と思いながら、ふと口にする。
「……実はこれ、俺の会社を潰そうという茂野の壮大な罠なんじゃないだろうな」