私、今から詐欺師になります
「その場合、茅野ちゃんを使わないでしょ。
 あの溺愛具合を見たでしょうが」

 なんだかんだで仲良さそうに見える二人の姿を思い出し、ふいに腹が立ってきた。

「茅野は本当にあいつと別れる気あるのか?」

「七億出してみたらわかるんじゃない?

『ありがとうごさいます、穂積さん。
 なんていい方なんでしょう。

 これからは自由に生きられますっ』

 とか言って、居なくなっちゃうかもしれないけど」

 ……上手いじゃないか、その物真似。

 不愉快なくらいだ。

「まあ、鶴でも恩を感じたら、機(はた)を織ってくれるから、大丈夫なんじゃない?」

 キスのひとつくらいはしてくれるよ、と言ってくる。

 いまいち笑えない話だ。





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