この胸いっぱいの好きを、永遠に忘れないから。



私は、あの兄弟猫の側へそっと近付いた。





「ニャー」



母猫が私を見て、可愛く鳴いた。







「逃げないの?」



私は話しかけた。







「人間怖くないの?」









"殺処分"……。




命を奪おうとする人間もいるのに……。




こんなに人間になついてる……。







私はまた涙が溢れた。








「ニャー」




私の顔を見て、もう一度鳴いた。








「……ごめんね……私、ごはん持ってないんだ……」









なんて切ない……。





なんて悲しい現実なんだろう……。








「……また来るからね」





私はさしていた傘を猫たちが濡れないように置くと、雨の中を走った。





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