君の隣に
「…ごめん。悪かった。友達…だもんな。俺らは…」

裕樹の声が小さくて震えていて抱きしめられたまま裕樹の顔をみた。

裕樹は声を出さずに涙を流していた。

しっかりしないと…。

私は裕樹を抱きしめ返した。

じゃないと裕樹がどこかに行ってしまいそうで怖かったから。

「大丈夫だよ、キスだって怒ってない。自分のこと分からなくて涙出ちゃったの。裕樹の方が辛いよね。苦しかったよね。1人で私とともみの間で辛い思いさせてたよね。ごめんね。でも、ありがとう。嬉しかった。いつも裕樹には助けてもらってて…私っ、わたっ…ごめんっっ…。」

裕樹の気持ちを考えたら辛くて辛くて泣いていた。

ごめんね裕樹。

でも、やっぱり好きになれないや。

ありがとう。

「…俺っ…これからも好きでいてもいいかな。」

好きになったらそんな簡単に忘れられない。

「いい人が早く見つかるといいね。ごめんね。幸せにできなくて。」

「ううん、ありがとう。えりな最高だわ。」

「裕樹だって最高だよ。」

そう言って私たちは抱きしめ合いながらいつの間にか笑っていた。

…吉田先生が見てるとも知らずに。
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