私に恋してくれますか?
ホテルのロビーの横にあるカフェで朝食をとる。
カフェはガラス張りで、朝の陽射しが明るい。
足立先生はサンドイッチを頼み、
私は焼きたてのクロワッサンとカフェオレを頼んだ。

「僕は仕事に行くけど、雛子ちゃんはどうする?」と私の顔をみる。
「…仕事にいきますけど…」と言うと、
「ひとりでアイツにあったら、丸め込まれない?
昨日、雛子ちゃんは俺が預かるって言ったら、
イロイロうるさかったから、電話を切ってやった。
…自業自得だっつーの。
雛子ちゃんを連れ出してから、随分たつのに、
何も話さないまま、付き合ったんだから。
雛子ちゃんは怒っていいんだよ。
…ついでに別れてくれると、更に良いけど…」とくすんと笑う。
「まだ、別れませんよ。
キチンと話が聞きたいし…」と呟いて、カフェオレを飲む。

食事を終える頃、父の秘書の水城さんがやって来た。
若いスーツ姿の女性も一緒だ。

まあ、父がこのまま私をほうっておくとは思わない。
私がトオルくんの家を出たことを知って
ホテルの部屋も用意したのだから…。

「おはようございます。雛子さん。足立先生。
よく、眠れましたか?」と私たちの顔をみる。

「エキストラベッドでも、よく眠れましたよ。
夕飯は一緒に食べよう。部屋で待ってて。」
と足立先生は立ち上がり、私に微笑んでから席を立った。
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