私に恋してくれますか?
食事が終わって
「今日仕事が終わったら、引っ越します。今までありがとうございました。」と言うと、
父は
「家を出ても、日野家の娘である事に変わりはない。
必要な荷物は家から持って行くように…いつでも帰って来なさい。」と私の顔を見ずに言った。

「ありがとうございます。」私は微笑む。

「お父さまが寂しがるから、月に2度位は顔を出して。」と母が笑った。

私は頷いて、席を立つ。



足立先生が出勤途中だから、influenceに送ってくれると言ってくれた。

少しためらってから、足立先生のエスコートで、助手席に収まる。

こんなところを見られたら、またトオルくんがヤキモチを妬くかな?

「父とずいぶん仲良しなんですね。」と言うと、
「まあね。今のところ、雛子ちゃんより、お義父さんとの方が仲がいいかな。
お義父さんの話は面白いよ。
俺は経済については素人だから、わかりやすく話してくれるし、すごく勉強になる。」と爽やかな笑顔だ。

「そんなに仲良くなられても…私は好きなひとと結婚したいので、
先生と結婚する気はありませんけど…」

「まあ、気が変わる事もあるでしょう。
あのコドモも、いつまで雛子ちゃんに夢中でいるかわからないし…」とにっこりした。


…言い返せない自分が情けない

でも、トオルくんは私にふさわしいオトコになりたいって言ってくれた。

とおもいながら、窓の外の景色を黙って睨んでいた。


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