私に恋してくれますか?
3月の初め、
私は実家の自分の部屋でスミレ色のドレスに着替え、リビングに降りた。

今日は実家の庭でガーデンパーティーが開かれることになっている。
まあ、親しい人たちや近い親族や家族だけなので、
そうかしこまった会ではないけれど、
大切なお祝いの会だ。


春の暖かい陽射しが庭に降り注いでいる。

一昨日、私は27歳になった。
トオルくんからは連絡は来なかった。

ため息が出るけど。
まあ、仕方がない。

トオルくんは今頃どこにいるんだろう?

「雛子ちゃん。ため息ついてどうしたの?」
と足立先生は黒のスーツに蝶ネクタイを締め、今日は一層スタイリッシュに見える。

「先生、蝶ネクタイよく似合いますね。」と微笑みかけると、

「先生はもうやめてよ。」と笑って私の顔をみる。

「ヒロミさん。素敵です。」と言うと、

「サツキの趣味だよ。
それより…そのため息はあのコドモのせいかな?
もう、待つのは飽きたろ?
そろそろ決着をつけないとねえ。」と笑いかけた。

決着って言っても…
トオルくんはどこにいるのかもわからないし
ずっと待ってると言ったのは私だし…。



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