私に恋してくれますか?
久しぶりに近所の神社の鳥居をくぐる。

一緒に手を合わせ、また、お互いの健康を祈った。

古いお守りは神社に返し、またお守りを選ぶ。

「私は家内安全。にしようかなあ。トオルくんは商売繁盛?」と聞くと、
「俺も家内安全。でしょ。商売を繁盛させるのは兄貴に任せるよ。」
と笑って、また、お揃いのお守りを選んで交換した。

トオルくんはスマホに自分のお守りをつけ、
「新しい鍵。」と私の掌に新しい家の鍵を置いた。

「ピーコ、俺と結婚して。一生俺のそばで笑ってください。」とトオルくんは微笑んで私の瞳を覗く。

「はい。」と私が微笑むと、私をしっかり抱きしめ、

「神様のいるところで誓ったから、『絶対』だよ。」と額に唇を付け、嬉しそうに手を握って歩き出す。

「そうだ、ピーコ、おみくじ引かないの?」とトオルくんに聞かれたので、

「もう、いいの。」と言いながら、

お財布に入れたままになっていた昔のおみくじを
たくさんおみくじが結んである枝に結ぶ。

「ありがとうございました。」と頭を下げて神社を後にした。

「これからは、ちゃんと初詣に来よう。」とトオルくんが私にニカッと笑いかける。


もう、おみくじは引かない。

もう、先のことは知らなくていいの。

トオルくんとの未来は

どんな未来もきっと楽しめる。



私は大好きな笑顔に大きく頷いて、
トオルくんの手を握って、弾むように歩いた。





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