私に恋してくれますか?
年末からお正月7日過ぎまで来なかった静子さんがやってきた。

一緒に夕飯のお鍋の用意をしながら、
「雛子さん。如月さんが結婚することになりました。
お相手のお嬢さんは妊娠もされているようです。」と言ったので、私はびっくりして、手を止め、

「お兄様が?お相手は秘書課の西島楓さんですか?」と静子さんを見ると、
「ご存知ですか?夏から一緒に暮らしていたようです。」と少しため息を吐いた。
「楓さんは、本店の販売にいた方で、ルピナスのケーキにとっても詳しくって、
笑顔の素敵な人です。…そうですか…
お兄様結婚されるのですね。嬉しいです。」と笑うと、

「私は古い人間なので、先に妊娠って言うのは…ちょっと引っかかりますけど、
如月さんが早く子供が欲しかったし、
お相手の方に早く結婚を決心して欲しかったから、フライング。と言っていましたので、
仕方がないのかもしれません。
まあ、ルピナスの後継者の如月さんと結婚するのはお相手に取っても勇気がいることでしょうし、
如月さんがお相手の背中を押すために妊娠という方法をとったのではないか
っていうのが旦那様の意見ですけど…。」

「まあ、お兄様ならありえるでしょう。」と私は可笑しくなってクスクス笑った。







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