私に恋してくれますか?
教授は
「異常はなかったよ。後は足立君に聞いて。」と笑った。

「長い間主治医を引き受けてくださってありがとうございました。」と挨拶をして診察室を後にし、
私は心臓外科の前に立って受付で名前を言うと、

「日野さんどうぞ。」とニッコリ笑った足立先生が診察室のドアを開けた。
私がおずおず診察室に入って行くと、

「心臓の調子は悪くなさそうだけど…。
胃が痛いんじゃない?
さっきカフェで見かけた時、無意識に胃の上を撫でていたと思うんだけど…
気になっちゃってさ。
だから、寄ってもらった。
主治医なら当然だと思うんだけど…
だからそんな不安そうな顔はやめて。
襲って食おうって訳じゃない。」
とにこりと笑って看護師さんを呼んで、私を診察台に寝かせ、

足立先生はそっと私のお腹を診察し、
私が顔をしかめると、
「ここ、胃の上だよ。食欲ないんでしょ。
吐いたりしてない?
胃カメラの予約して帰ってね。じゃ、また今度。」と電子カルテの画面に向かった。

「ありがとうございました。」と頭を下げて、ドアを開けると、

目の前に母が立っていた。

「…お母様。」私が驚くと、

「久しぶりね。雛子。元気だった?」と潤んだ瞳で私を見つめ、私を抱きしめた。

足立先生は
「雛子さんのお母さん?
担当医になったら足立です。どうぞ。」と柔らかく微笑んで私達を診察室に戻した。

「取り乱して申し訳ありません。」とお母さんは涙を拭いて微笑み、

「先ほど、教授にご挨拶してまいりました。
足立先生が雛子の主治医になっていただいたそうで、ありがとうございます。
雛子の体の調子はどうでしょう。
最近実家を出たので少し、心配で…」と母が聞くので、

足立先生が私の顔を見た。私が母の後ろで何度も首を横に振ると、

「そうですか。心臓は特に問題はありません。」と先生は大きく微笑んだので、

お母さんはホッとしたように微笑み、一緒に診察室を後にした。





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