私に恋してくれますか?
今日は水曜日。
あと、3日で引越しだ。

18時30分。
私の仕事は終わり、みんなにコーヒーを入れることにした。

突然、家のチャイムが何度も乱暴に鳴らされる。
私達は顔を見合わせ、トオル君と左近さんが玄関に向かう。

「雛子ちゃんは奥にいて。」と桜井さんがキッチンを指差す。
私は警察にいつでも通報できるようにと、スマホを掴んでキッチンに入った。

大きな怒鳴り声が聞こえる。若い男の人の声だ。

「トオル、お前は何をやってるんだ!日野 雛子を連れて出て行ったのはわかってるんだぞ!」

「兄貴にはピーコと結婚する資格がない!」とトオル君の怒鳴り返す声が近づいて来る。

兄貴?ってスグルくん?

「離せ、雛子さんは日野の家に返す!」と争っているようだ、男性がトオル君が掴んだ腕を振り払って、
応接室を大股にやってくる。

キッチンにいる私を見つけると

「久しぶり。雛子さん。優(すぐる)です。
今日、君の兄さんに会って、
雛子さんの体調が良くなったら、
延期になっていた見合いの日取りを決めてほしい。
って頼んだら、知らないのかって驚かれて
トオルが雛子さんを連れ出して、一緒に暮らしてる
って言われて、
びっくりして、慌ててやって来たんだ。

トオルに騙されて連れてこられたんでしょう?
トオルは僕の邪魔をするために雛子さんを連れ出しただけだ。
別に雛子さんの事を気にかけた訳じゃないし、
好きな訳でもない。
僕の縁談を邪魔したいだけだ。
帰りましょう。送ります。」と無理やり笑顔を作った。

どういうこと?

私のお見合い相手はスグルくんだったってこと?
そういえば、私はお見合い写真も見ていなかったけれど…。
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