私に恋してくれますか?
「待てよ兄貴、兄貴には昔から付き合ってる恋人がいるって知ってる。
見合いするのはおかしいだろう!」とトオルくんが大声を出す。

「そんなことは問題じゃない。
付き合っていた女には結婚はできないと言ってある。
別れれば問題はない。
そんなことは雛子さんもわかってるはずだ。
雛子さんと、僕の縁談は周りが望んでる。
雛子さんには不自由のない生活が約束されているし、
五十嵐の家と結びつくことで日野家にも利益がある。
stormはルピナスの人脈を手にいれ、更にビジネスのチャンスを広げることができる。」

「そんな結婚じゃ、ピーコは幸せになれない!」

「決めつけるな!
家を出たおまえが口を出す話じゃない!」
と言って、スグルくんは「帰ろう」と私に手を伸ばす。

私は首を横に振って後ずさる。

「トオル君、私を連れ出したのは
スグルくんがお見合いの相手だって知ってたから?
スグルくんの邪魔をしたかったの?」

「ピーコ、ちゃんと説明する。」とトオルくんも私に手を伸ばす。

「…触らないで。」と言いながら、私は玄関に向かう。


今は何も考えられない。

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