私に恋してくれますか?
私は足早に歩き続ける。
住宅街を抜け、車のヘッドライトが続く広い国道に沿っていつまでも歩く。

頬を涙が伝う。

トオルくんとの出会いは偶然じゃなかった。

トオルくんは私にお見合いをさせないために連れ出したのかもしれない…

お兄さんの邪魔をするため?

それとも、恋人のいるお兄さんとのお見合いは
私のためにならないって思ってくれたの?

わからない。



私は歩き疲れて周りを見渡す。

ここはどこかな?

随分歩いたのかもしれない。

手の中にあるスマートフォンは着信を告げる点滅を繰り返している。

今トオルくんには会っても、感情的になるだけだ

かと言って…家族に連絡したら連れ戻されそうだ…。

もう、トオルくんの家を出て2時間ちかい。

…また、家出するのにお財布も持っていない…と可笑しくなる

マヌケだ。

私は大きくため息をついた後、
決して自分からかけることのなかった電話番号に電話をかけることにした。
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