涙雲

傘の少年。

「うわっ」


目の前に子供の背中があって
避けきれずに勢いよくぶつかった。

あたしは後ろにのけ反って、そのまま尻餅をついた。子供は前に突き飛ばされ、カシャンと何かが落ちた。

「ごめんっ」


反射的に謝る。
相手は勢いよすぎたためかうつ伏せに倒れてる。


「いたたた……」

「まじでごめん、大丈夫?」

引っ張りあげようと手を差しのべたが、子供は「あー!!!!」っと大声をあげた。

手がさしのべられたまま止まる。


え。

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