強引専務の甘い手ほどき
社長秘書の水城さんが
「西島 楓さん。
明日から、本社秘書室勤務を命じます。」と辞令の紙を出した。

「へ?私ですか?秘書なんて、やった事ありません」と大声を出すと、
「知っています。明日から僕の部下です。
スーツは持ってますか?」と水城さんが私を見る。
「い、いいえ。」と首を横にブンブン振ると、
「首は振らなくていい。
パンツスーツとりあえず、2着。
黒の膝丈ワンピース。袖なしは不可。シックなヤツ。
5センチヒール、黒。明日までに用意して。
8時30分に、本社第1秘書室に出社の事。
ワンピースはロッカーにいれておくから持ってくる事。スーツで出社。
わかりましたか?」と私の顔をみる。

全然わかりません。

「5センチヒールは無理です。3センチじゃないと…」と言うと、
「仕方ありませんね。では、両方用意を。5センチヒールはロッカーに常備。
購入は百貨店〇〇4階で。会社の名前でつけに出来ます。
くれぐれも、リクルートスタイルじゃないヤツで。」

「わ、わかりません!リクルートじゃないヤツってなんですか?」
「店員に聞きなさい。」
と水城さんが呆れた声を出し、社長と部屋を出る前に辞令の紙を私に握らせた。


うそ。
なんで秘書?
絶対絶対無理なんですけど。


「今日はこれで帰りなさい。
秘書室に勤める準備をして。」と店長は気の毒そうに言い、

紺野さんは
「ルピナスのケーキが好きなカエデちゃんなら、大丈夫。」とニッコリ笑った。



「ええええー!」と私はとりあえず大声を出した。
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