乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
 二人は手を繋いでオフィスまでの道のりを歩いた。

 ネットやテレビで一躍時となった人の二人だが、手を繋いで歩いていても、暖かい目で見守られ、声をかける人はいない。

「体調大丈夫?無理してない?」

「うん、大丈夫。結局、産休は貰わないことにしちゃった。」

 杏樹は、ギリギリまで働いて辞めることにしたのだ。悠一に引き留められたのだが、二足のわらじを背負う雅輝の手助けをしたいと強い気持ちがあった杏樹は、自分の意思を貫き通した。

「そっか、じゃ帰ってきたらいつでも杏樹と子どもたちに迎えられるわけだ、俺。」

「うん、そうだね。」

「結婚式、今から杏樹の綺麗な姿、想像すると顔が緩むよ。」

 杏樹が妊娠したことですぐに結婚式をあげることとなり、二人は凄い幸せに包まれていた。

 杏樹とフランスに帰るつもりだったアランは、白愁先生のところに身を寄せ、産まれてくる二人の孫のために、絵を書きだした。

 白愁先生は、杏樹の結婚式の打ち掛け作りに毎日、朝早くから夜中まで、打ち込んでいる。

「みんなに支えられてるね。私たち……。」

 二人はお互いの手を強く握りしめた。

 もう絶対離さないと誓って。

「あっ、あのレース可愛いな!!」

「次は何作るんですか?」

「ぬいぐるみに服着せてあげたいんだよ。」

「そうやって言って、アトリエが資材で埋まっちゃう!」

 レースを見てうっとりとする髭がトレードマークの強面の雅輝と、強いツッコミをバシバシと話す毒舌な杏樹。

 これからも二人はみんなにこう呼ばれる。

ー乙女野獣と毒舌天使ー と。

(完)
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