乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
翌日、メディアを賑わせたのは、結城財閥のことでも、クリスフォード・アラン氏の娘のことではなかった。
ーラポールのウェディングホールで幸せを運ぶうさぎとプロポーズー
という文字だった。
雅輝はただ杏樹が欲しがった、うさぎのぬいぐるみをプロポーズに使っただけなのに、女性人が"ステキ~!!"と騒いだことで、こんなプロポーズされてみたいと言う人が増えたのだ。
ちょっとしたブームを作ってしまった張本人はというと、アトリエで大忙しだ。
誰かがネットにアップした画像を見た、アトリエーMIYABIーのファンが、これは今までに見たことない新作だと騒ぎだし、最終的には、雅輝が作っていることがバレてしまったのだ。そして、副社長とぬいぐるみ作家の二足のわらじを背負うことになった。
副社長業も忙しいはずなのに、自分の好きなことが出来る嬉しさと、ぬいぐるみを作ってると隠さなくていいことで肩の荷が降りたのか、本人は生き生きして、楽しそうだ。
大量の注文が入り、その中には渉と悠一のものもあるようで、"俺の真似しやがって"と言いながらも嬉しそうに手を動かしている。
あの例の動画は、何十年も前の杏華とアランがCMで共演したものを意図的に加工し、ネットにアップされていたものだった。
結城親子は、色々な嘘をでっち上げたことによる詐欺罪と、今までに行ってきた不正行為が明るみになり、専務はそのまま現職に留まるが、その権力はないに等しい。
「私たちの心配、返してくれないかしら?」
会社の近くカフェで杏樹は、絵梨、なずな、五島に囲まれていた。
「えっと……。カフェオレ飲みたいな…?」
杏樹が苦し紛れに言うと、絵梨にメニューを奪われ、勝手に100%のりんごジュースを頼んだ。
「杏樹、カフェイン禁止でしょ?それに、気持ち悪くてもちゃんと3人分食べなきゃ!」
絵梨に言われ、"は~い、"と口を尖らせる杏樹。
なずなと五島は何も聞かされていなかったが、すぐに理解したようだ。
「「え~!!妊娠してるの?」」
二人はそれだけでも驚いているのに、双子と聞いてさらに、ビックリしていた。
「副社長、やるわね~。すぐに赤ちゃん出来るなんて、元気な証拠ね。」
「私も悠ちゃんの赤ちゃん欲しい!」
「私も渉との子ども欲しいけど、まだ、ラブラブしたいな。」
3人が盛り上っていると、気まずそうな顔をした雅輝が顔を出した。
「昼間っから…声大きいよ、3人とも。」
午前中はアトリエで仕事をし、午後から出勤する雅輝は、カフェにいる四人を見かけて入ってきたようだ。
3人にしばらくからかわれ、杏樹と雅輝はカフェを出た。