乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
「杏樹ちゃん、すごい流暢に話すね。」

「あぁ。フランス生活長かったんで。」

 ランチを二人で食べながら悠一が色々と話かけてくる。
 デザートまで食べると、ウェイトレスが近づいてきて、悠一に封筒を渡してきた。

『これ、頼まれてたものです。通訳頼めそうな女性たち。アンが働いてなかったらアンが一番適任なんだけど。』

『ありがとうございます。いつも助かります。』

『アン。また、来てね!』

『はい、また。』

 そんな会話をして店を出て、アトリエに戻ろうとしたとこで悠一が杏樹を引き止めた。まだ、一時間は鍵がかかっているため戻れないことを、杏樹は忘れていたのだ。




「雅輝さん、今日はわたくしとお逢いして頂き、ありがとうございます。」

 そう目の前の女性に言われて、はっとして、笑顔を作る。

 二人は、ホテルのレストランで、食事をしていた。

 そもそも、叔父に言われて来ただけで、ただのビジネスであって、早く過ぎればいいとさえ思っている。

「雅輝さんは、どんな方をパートナーとして望まれますか?」

「ビジネスパートナー間に合ってますよ?」

「えっと。そうじゃなくて…生涯のパートナーにと言うことです。」

 目の前の女性は、顔を赤らめ、上目遣いに聞いてくる。

「そうですね。望むことはただ一つなんです。同じ目線で同じ考えで、一緒に横にならんで歩いてくれることです。」

 心の中でため息を付きながらも、最大級の猫を被りながら相手に伝える。

「えっ?家柄とかそう言うものは…。」

「関係ありませんよ。」

「……。でも、雅輝さんは、後を継がれる方ですよ?周りが認めないんじゃ…。」

「政略結婚はしませんし。そもそも馬鹿らしいと思ってます。それに、うちは世襲じゃなくても、優秀な人が上に立てばいいんですよ。」
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