乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
 相手の女性は、それでも尚、訴えてくる。

「でも、あなたを後継ぎにと思う人もたくさんいます。あなたを支えて行けるのは色々な意味で、私が一番なんです。」

 そう言いながら、不意に雅輝の手の上に自分の手を重ねる。驚いたが雅輝は、ゆっくりと重ねられた手をどける。

「食事も終えましたし、仕事がありますから失礼します。帰りはタクシーでお帰りください。」

 すくっと立ち、その場を離れようとすると、手を掴まれる。

「次は、夜誘いますね。部屋でゆっくりお話ししましょう。」

 妖艶に微笑むが、雅輝は真顔で"失礼します。"と言うだけであったたも、周りの人間には二人の温度差が分かってしまい、女性は、気まずそうにしていた。


 杏樹と別れた悠一に、雅輝から連絡が入る。

ーアイス食いたい。ー

 二人はよく公園の中に売りに来る、移動販売車の前で落ち合った。

「悠一、何であそこでランチしてたんだよ。」

「悪い、杏樹ちゃんを、すぐに追いかけたんだけど…。」

 ため息をつきながら軽く悠一を睨む。雅輝は、女性と逢うとこを杏樹に見られたくなかったんだと、悠一は改めて思った。

「好きになった?」

「惹かれてるよ…。」

「え!?」

「?自分から聞いたんだろ?」

「いやっ、軽いジョークのつもり…だったんだけど。」

「……。はぁ、疲れた。」

「結城財閥の娘は、高飛車だからな。」

 二人してため息をつく。

「親父もお袋も、ぬいぐるみ作家になったこと特に何も言わなかったし、会社は、俺がいなくても回ってるじゃないか。」

「専務がお前を社長に仕立てあげたいんだよ。そのためにも結城財閥との濃い関係が欲しいらしい。」

 そう、さっきから言っている会社とは、悠一の勤める会社のことだ。

 オフィス R ーラポールー 社長が雅輝の父親。

 つまり、雅輝は、御曹司なのだ。
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