乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
「悪いな、立花。企画は出したもん勝ち。採用されたもん勝ち。」

「あんたね!」

 難波は、壁に持たれかかり、足を組み換えながら、オシャレ眼鏡を外し、胸ポケットに入れ、鼻先で笑う。

「どうせ、打ち合わせには来れなかっただろ?その時点で、採用されたのが立花のだろうが、担当は俺に決まってたんだよ。採用されたが、まだ、最後の方は詰めてなかったよな?」

「そうよ。お昼時間にアポを入れて、最終確認をする予定だったのよ!」

「それは、立花にさせてやるよ。責任持ってしろよ?」

 イライラして今にも叫びそうな杏樹を、その場に残して難波は、去っていく。

「杏樹先輩…。私、謝りませんから。」

「あんたね!」

「私、難波さんの役に立ちたかったんです。」

 杏樹たちは、"はぁ?"と口をポカンとあけた。

「それじゃ失礼します。」

 杏樹を意図も簡単に裏切ったのは、ここ半年ルームメイトしていた、杏樹が可愛がっていた後輩。

 イライラしながらも気持ちを切り替えて、杏樹は企画課に戻る。

 別れ際、友人に心配されながらも、杏樹は"大丈夫よ!"と、笑って見せる。


ー企画課ー

「すごい、難波さん!企画通ったんだって!」
「やっぱり、さすがとしか言えないよね~。」
「難波は、内のホープだよな!」

 難波を、称賛する声に包まれる企画課に戻り、杏樹は自席につく。

 その輪には、難波の横にかすみが羨望の眼差しで立っている。

 遠目から難波たちを見る杏樹に気がついたみんなが、杏樹に向かって冷やかな視線を向ける。

「それに、比べて立花さんは、酷いよね。」
「難波さんの企画が通ったのを喜ばない所か協力もしないし、私の企画って言ってるんでしょ?」
「顔が可愛いから、枕営業してるって専らの噂だよな。」
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