乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)

 入社して4年。ずっと仲間だと思っていた仲間からの批難に杏樹は悔しくなる。

 すると課長から、呼ばれ上座のデスクに行く。

「商談がまとまった。君の企画でなく難波の企画だ。立花には、難波のサポートを頼みたい。」

「……。」

「ブライダルの壁画をお願いする画家に心当たりがいるらしいな。この企画には絶対欠かせないから、よろしく頼むよ。」

 課長は、何も知らず、しかも難波の企画と信じて疑わない。
 
 それが、杏樹のイラついた気持ちをさらに、苛つかせる。

 課長に返事もせずに、自席につき、杏樹は書類を書き始め、デスクにある書類の束を課長の席に"ドン"と叩きつけるように置く。

「これから先、三ヶ月分の企画に必要な書類たちです。前倒しに準備してました。」

「あ、あぁ…。仕事が早いね。」

「採用された企画は、昨日の夜、わたしが考えたものです。だから画家にも心当たりがあったんです。でも、難波さんの企画として採用されたのなら、私は協力はいたしません。」

「えっ?あれは難波の企画じゃ…?」

「チッ…。」

 杏樹はイラつきのあまり、いつもは怒りを露にせずポーカーフェイスをしていることを忘れ、舌打ちをした。

「えっ、立花、今、舌打ちした?天使の立花が?き、聞き間違い!?」

 課長は、突然の舌打ちにあたふたする。

「とにかく、協力はいたしません!それと、1ヶ月の有休を下さい。困りませんよね?自分の仕事は三ヶ月先までまとめてますし、私ずっと有休とってませんし!」

「あっ、あぁ、わかったよ…。」

 渋々と有休届けに判子を押した。

 ざわめくみんなを睨みつける。今までに見たことない杏樹の姿にさらにざわめく。

 それもそのはずだ。

 杏樹は、ここ4年、みんなの前では微笑みを絶やさず、怒りもせずに、過ごしていたからだ。
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