乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)

 絵梨は、杏樹の部屋でベットに腰掛けながら、杏樹の入れたミルクティーを飲んでいた。あの後、みんなでそれぞれに自己紹介をし、少し話した所で、悠一となずなは、デートに出掛け、渉は、仕事に戻り、絵梨を迎えに来ることになっていた。

「連条さんと元々知り合いじゃないのに、よく、同棲出来るよね。」

「だから、同居!」

 さっきから二人は、"同棲""同居"と論議をしていた。 

「じゃ同居でいいからさ。杏樹、付き合ったことないでしょ?だから、連条さんと、男といるってきいてびっくりしてるのよ。」

「雅輝さんは、いい人だよ?」

「いい人なのは分かるんだけど。本当に何もないわけ?見た目じゃ付き合ったことない、処女とは思われないでしょう?」

「本当に、何もないよ!」

 杏樹はぷりぷり怒りながら絵梨を軽く睨む。

 確かに、絵梨の言うように26年彼氏なし、もちろんキスさえもしたことない杏樹を心配しているのだろうが、ちょっとムッとしてしまう杏樹に絵梨は、覗き混むように聞く。

「じゃぁ、気にもなってないの?」

「…気にはなってる。」

「えっ?」

「絵梨が聞いたんでしょ!初めてだった、有りのままの自分を出せたのは。」

 絵梨は、"あぁ。"と納得する。

「大丈夫。1ヶ月だけだもん。ここにいるのは。」

 大丈夫と言う杏樹の横顔を見るが、絵梨にはとても大丈夫な感じはしなかった。

「恋?」

「…まさか。」

 杏樹は、絵梨に軽く笑ってみせた。

「それより、企画はどうなってるんだろう?」

「私も詳しくは分からないけど、相手会社の担当者が頻繁に出入りしてるよ。」

「そう…。」

「杏樹のロッカーの荷物、私が預かってるんだ。あの子がロッカー空けようとしたの目撃したからさ。」

「ロッカーを!?」

「うん、デスクは皆の目があるでしょ。なんかクリスフォード・アラン氏の連絡先を探してたみたいよ。」

「……はぁ。部屋も泥棒が入ったみたいに、荒らされてた。」

「えっ?」

 部屋が荒らされてたことや、その日にここに引っ越してきたことの成り行きを話すと、びっくりと言うよりただ唖然として"はぁ?"と顔をしかめている。

「部屋が?それ、もう警察ものだよ?今回のネットもそうだけど。」

「うん、だよね。」

 
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