乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
「ちょっと待ちなさいよ!あの変なアイコラ写真も今、調べて貰ってるとこよ。私の部屋を荒らしてアランの連絡先も探したんでしょ!?どっちも警察に届けてるから。」

 杏樹がまくし立てながら一気に話すが、難波はフンっと鼻で笑い、"だから、俺じゃないし"と嫌みに杏樹を見下ろす。

ーガタンー

 椅子の倒れる音がし、振り向くとかすみが真っ青な顔をして座り込んでいた。

「せんぱい…警察に、届けたんですか…。」

 杏樹は、はっとして一瞬にして状況が分かってしまった。難波を見ると、かすみに哀れみの瞳を向けている。

「…かすみ…。」

 杏樹が呟き屈もうとすると、さっきまで哀れみの瞳を向けていた難波がさっと慈しむような態度に変わり手を差し伸べた。

 杏樹が怪訝な視線を送る。

 難波がかすみを抱き抱える様子を見ていると、入り口から大きな声が聞こえる。

「かすみ!どうしたんだ!」

 声の主は、かすみの父親。ここの専務だ。

「何があったんだ!こんな青ざめて!」

 入り口から入ってきた人物を見て、フロアの誰もが視線を逸らす。

 かすみの事を溺愛しているため、ちょくちょくフロアに顔を出し、ついでに口も出していく。そんな専務とは誰しも関わりたくないのが本音だ。

「あの…専務、こちらには何のご用でしょうか…。」

 課長がしどろもどろになりながら言う。

「何の用だと?たんまりとある!!最近やっと家に戻ってきたと思うと、連日残業!それに、あの手癖が悪いラポールの岩倉と逢わせるなんて、どういうことだ?岩倉は警察にいるそうじゃないか?」

「……。」

「それにラポールからは今回の話しは選考し直すと言ってきた。もう、わけがわからん!」

 そう昨日、雅輝から杏樹は色々聞かされていた。岩倉と難波はお互いに好みの女性を賄賂として渡しながら、お互いがお互いの仕事の都合が良いように、手を組んでいた。

 今までも、難波は何人かの女性がラポールと契約するために提供者されていたようだ。

 もう会社にその女性たちはいないようであったが。

 今回は、初めは杏樹じゃなくかすみが提供されるはずだった。

ー立花さんは元々、高嶺の花だからさ、諦めてたんだよ。あのビラみても明らかにアイコラ写真だろ?あの写真の子、どうみても体つきが立花さんと違うし。だから、難波の最近のお気に入りをってたのんだんだ。そしたら、最近のお気に入りは専務の娘って話して、本当は、立花さんじゃなかった。だから、慌てて風呂に行ったんだよ。ー
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