乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
 社長室に入ると、満面の笑みをした父親、連条雅成の姿があった。

「待ってたよ。雅輝。」

「窮屈だよ、久々のスーツは。」

「じゃ、打ち合わせをしようか。今日、緊急集会をするたも、朝の9時にホールに集まるよう通達している。専務は、ブライダル企画のことだと思っているよ。」

 3人で距離を詰め、今後のことを話し合い、あっという間に緊急集会の時間となり、ホールに向かい、壇上のカーテンから、雅輝はみんなの様子を眺めた。

 たくさんの社員を抱える父親を尊敬の眼差しで見つめ、自分を奮い立たせる。

「おはよう、皆。朝早くの貴重な時間に、集まってもらいありがたく思うよ。先日、ブライダル企画の部分であってはならない不適切なことがあり、ブライダル企画について再検討することになった。専務からの申し出で、ブライダルの専門部署を設立してみてはと言われ、私も以前から打診をしていた人物に協力してもらうことにした。」

 社長の話を頷きながら、鼻高々としている専務だが、最後の部分を聞き、顔を歪める。

「副社長が不在で長らく迷惑をかけたが、やっと口説き落とすことが出来た。息子の雅輝だ。」

 それを合図に壇上横のカーテンから雅輝が、社長のいる中央まで歩いてくる。

 雅輝の姿をみて、ホールがざわめき出すのが分かる。中に、黄色い声も混じっている。

「初めて、息子の雅輝です。副社長として着任が決まりました。ブライダル企画の室長も今回、兼任いたします。」

 周りを見ながら淡々と話す姿は、とてもアトリエに籠りぬいぐるみを作っていた人物とは思えない凛々しさだ。

「大学を卒業後はフランスに4年、アメリカに2年おりまして、その当時、立て直した会社の顧問を掛け持ちしています。副社長として着任したのちは、こちらと契約関係を結びたいと思います。」

 それの挨拶を皆はただ黙って聞いているが、専務だけ苦虫を噛み潰したような顔をしている。

「日本での経験はあまりありませんが、今までの経験を生かし、ブライダル企画は成功を納め、なおかつ、予定売り上げの3倍は皆様にお約束します。」

 その言葉に、どこからか拍手がなり、それが大きくなっていく。

 まだ、達成はしていないにも関わらず、大きな拍手に包み込まれ、社長と悠一は、雅輝のカリスマ性を改めて実感した。

 皆を惹き付け導いてくれる、太陽のような存在の、雅輝。

 皆を支え時には誤りを正してくれる、月のような存在の、悠一。

 社長が思い描いてい情景だった。
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