乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)

 ロッカーは、企画室の横に男女別に準備されており、ロッカーの入り口から自分のロッカーまで全てICカードのスキャンと指紋認証システムになっており、杏樹は驚いた。

「杏樹ちゃん!宜しくね!本当嬉しくて~もう、こないだフランスの翻訳したときに何度も口から出そうだったの我慢したの!」

「宜しくね。なずなちゃん?……ってここのシステムすごいね!指紋認証までするんだ。驚いた…。」

「そうですね、ここまでするかって思いますよね?でも、情報漏洩を防ぐためです!特に、専務一派には気をつけないと…。みんな知ってることなんですけどね…。」

 そう言いながら、なずなは杏樹に会社の内情を話してくれた。

 雅輝が副社長に着任したのが1週間前で、ウェディング企画室の室長になったのも1週間前。

 この1週間で退社後に、ウェディング企画室に出入する不信人物がいた。そのため、今までICカードのみだったシステムに指紋認証システムを追加したのがつい、昨日のこと。

 パソコンやロッカーに入り口の扉に指紋認証システムが追加して、正直めんどくさいが、これぐらいの対策をとる必要がいるほど、重要案件と言うことだ。

 専務は人形のようにただ座っているだけの副社長が欲しかったが、そうはいかず雅輝が出来る副社長なことが気に食わい。
 
 しかも、これからラポールの中枢になるだろうウェディング企画に全く関わることが出来ないことで専務の怒りがウェディング企画室に関わる人間に向かっているとのことだ。

「さっき、専務にあったよ。」

「えぇ~もう会ったちゃったの!!サイアク!!」

 悠一の専務にたいする冷たい態度に納得しながら、ロッカー室を後にした。

 その後、1階に降りて部署な場所の説明を受ける。

 杏樹は会社全体を眺め、とても暖かい印象を受けた。こんな大手企業なら高いタワービルに会社を構えていいようなものの、三階建ての横に広いオフィスを構えていて、中庭がどのフロアからも見られる、上からみたらカタカナの"ロ"の形をした作り。
 
 オフィスにしては珍しいレンガ張の壁で、フロアの床や壁は白色で清潔感が溢れている。

 とても、情報漏洩があるような会社には見えない、どちらかと言えば、アットホームな感じの会社だ。

 そんな感想を抱きながら1階、2階とフロアに足を進める。
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