乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
 2階のフロアは、海外事業部1課から3課、秘書課、企画課、システム開発課、総務課、専務室があった。

 案内されながら、度々視線を感じ、そのたびになずなに伝えるが、"気にしない~気にしない。"と、はぐらかされてしまう。

 海外事業部からは、わらわらと男女ともに廊下まで出てきて、"立花さん、こないだは翻訳助かったよ~!"とたくさんのひとにお礼を言われて、以前、なずなに頼まれてフランス語に翻訳したものが、この会社のものだと初めて分かった。

 秘書課に差し掛かると、中から3人の秘書が出て、頭の先から足さきまで見られる。品定めされるように。

 その中の一人が杏樹に声をかける。

「あなたみたいな人で良かった。結城財閥の令嬢はほんと嫌なやつなのよ!あなたなら副社長にもぴったりだし応援するわ!」

と、強く両肩を握られた。

 杏樹は曖昧に頷くことしか出来なかったが、秘書課のみんなは何故かそれに納得していた。

「結城財閥の令嬢って…何?」

 杏樹の疑問になずなは答えることはなかったが、鼻歌を歌う姿に、これは何かあるなと思うが、この妙な雰囲気の訳はいずれ分かることになる。


 雅輝とともに新天地に来た杏樹を待ち受ける、数々の試練。

 二人で乗り越えた先にあるのは、何なのか…。

 それは、神様しかしらない。
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