乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
「結城財閥の令嬢、企画室に乗り込んで来たんだろ?五嶋が秘書室で騒いでたぞ。」
「あぁ。あの女とは地球が滅びても無理だ…。」
アトリエで悠一と雅輝は夕食後の晩酌中だ。なずなが杏樹と食事に行くと聞いてたから、なずなにアトリエで待ってるから二人で帰って来るように悠一は話をしていた。
「雅輝は苦手なタイプだもんな。でも、まだ、私は婚約者よって言う顔をして、会社内うろちょろしてたよ。」
「はぁ。何でそんなこと…。」
「まぁ誰も本気とは思ってないから、冷ややかだけどな。」
「……。」
「杏樹ちゃんの戦闘ぶり見たかったな!五嶋は興奮した様子で立花さん天晴れだわって行ってるし、なずななんて、あの毒舌っぷり最高って騒いでたよ。」
「あぁ。正直、…嬉しかったな。」
「へぇ~。」
ニヤニヤと悠一に笑われ、慌てる雅輝は一気にお酒を飲む。
「杏樹ちゃんとはこれからどうするつもり?ってか、一緒にいて本当に何もないわけ!?」
「お風呂上がりや寝起きに無防備な格好してても、今は、理性が働いてるよ…。」
「俺なら抱いてるぞ?」
「ははっ。俺、恋愛偏差値低いもんな。」
ふたりがそんな話をしてると、アトリエの入り口が賑やかになる。ふたりが立ち上がり"帰ってきたかなぁ"と言いながら入り口に向かう。
「杏樹~しっかり~。」
「もう、絵梨ちゃんがあんなに飲ませるから~!」
「だって、色々聞きたかったし!」
入り口に行くとなずなと絵梨に支えられるようにぐったりとした杏樹がいた。
「杏樹、大丈夫か?飲み過ぎじゃ…。」
雅輝が近寄り杏樹に話しかけると、今まで閉じていた瞳がぱっと開き、一瞬二人の視線があう。
「あっ起きた?杏樹、おかえり。」
意識があると思い、雅輝が杏樹に声をかけると、支えられて立っていた杏樹が二人から手を離し、雅輝に向かって歩いて来たかと思うと、抱きついてきた。
一瞬の出来事で雅輝はふらつくが、しっかりと支えた。
他の3人は、びっくりした様子だがすぐにニヤニヤし出した。
「ただいま~雅輝さん!!」
上機嫌の杏樹は、雅輝から離れようとはせずに、それどころかすり寄ってくる。雅輝は、無理矢理杏樹から離れようとはせずに、ちゃんと支えて"酔ってるだろ?"と言いながらも、嬉しそうにしてる。
「悠ちゃん、帰ろうか!」
「あぁそうしようか。雅輝、今日が理性崩壊の日かな?」
「連条さん。杏樹よろしくお願いします!」
今だに雅輝から離れない杏樹を託しながら、3人はとっとと帰っていく。
雅輝は腕の中にいる杏樹を見ながら苦笑いした。
「俺、試されてるのかな?」
その呟きは杏樹に届くことはなかった。
秋の夜長がと言うけれど、雅輝の長い長い葛藤の夜がやって来るのだった。