乙女野獣と毒舌天使(おまけ完結)
「副社長、杏樹ちゃんから後は任せてねって伝言預かってます。」
なずなに言われ、雅輝も頷いたところで、部屋で待機していた結城親子と専務が歓迎する。
「先生、今回はありがとうございます。」
雅輝達が見たこともないくらい深いお辞儀をする専務は、ここぞとばかりに結城親子をたて、あやめの父親はとても機嫌がいい。
「先生。私、この先生の帯、愛用させて頂いております。もう、最近では中々手に入りませんもの。先生の作品、大好きなんです。」
すり寄って行くあやめの姿は、あまりにも滑稽で、みんな飽きれ顔であった。
「それは良かったわい。」
ただの挨拶程度のセリフに、あやめのテンションは上がっていくのが分かる。席につこうとなったとき、なずなは席がひとつ足りないことに気がつく。
先程の騒ぎでお膳がひとつダメになってしまったのを下げてもらったのだが、まだ、持ってお膳は持って来られない。
それに気がついた雅輝が仲居に訊ねるが、どうやら専務達が変わりは準備しないで良い旨を伝えたようで、準備はしていないようであった。そうなると、今いない杏樹の席はないことになる。
「立ち話もあれですから、座りましょうか。」
あやめの父の声で座ることになるが、その席順も指定してきた。
「君、先生にお酌をしなさい。」
と、なずなは白愁先生の横に座らされ、白愁先生の対面の席に座った雅輝の横には、ベッタリとあやめが座っている。顔にこそ出さない雅輝たが、仕切りに髭を押さえているため、なずなたちにはその苛立ちが伝わった。
「失礼いたします。」
襖を開けて入ってきたのは、薄紅色の着物に着替えた杏樹だった。
「本日、この席の司会をつとめます、ラポールの立花です。よろしくお願いいたします。」
雅輝は、そんな予定はなかったのにと思うがハッとして、席を立ち、杏樹の横に正座し、白愁先生に向かい直った。
「今回は、プレオープンまで、短時間にも関わらず引き受けていただきありがとうございます。」
揃って頭を下げる雅輝と杏樹に、あやめは嫉妬のような感情を抱く。
雅輝の表情から杏樹が咄嗟にしたことなんだと思いながらも、息のあった姿を見せられると悔しく思えたのだ。
「メインのお料理が来るまで、前菜をお楽しみ下さい。その間、箏の演奏をしばらくお楽しみ下さい。」
杏樹がメインの料理の準備が整うまでと、箏の演奏を初め、一堂が度肝を抜かれる。とても心地よい音色で、ずっと聞いていたくなるような、繊細でたまに力強い演奏だった。
杏樹は知らなかったようだが、白愁先生は箏の演奏を聞くのが好きで自分も演奏するのが好き。
あやめは嗜み程度にしか箏をしていないから、本当は自分が披露したかったのにと、心の中で思った。
曲が変わる度、杏樹に向かって拍手をおくる白愁の顔は穏やかで、誰もがこの演出に感動した。
なずなに言われ、雅輝も頷いたところで、部屋で待機していた結城親子と専務が歓迎する。
「先生、今回はありがとうございます。」
雅輝達が見たこともないくらい深いお辞儀をする専務は、ここぞとばかりに結城親子をたて、あやめの父親はとても機嫌がいい。
「先生。私、この先生の帯、愛用させて頂いております。もう、最近では中々手に入りませんもの。先生の作品、大好きなんです。」
すり寄って行くあやめの姿は、あまりにも滑稽で、みんな飽きれ顔であった。
「それは良かったわい。」
ただの挨拶程度のセリフに、あやめのテンションは上がっていくのが分かる。席につこうとなったとき、なずなは席がひとつ足りないことに気がつく。
先程の騒ぎでお膳がひとつダメになってしまったのを下げてもらったのだが、まだ、持ってお膳は持って来られない。
それに気がついた雅輝が仲居に訊ねるが、どうやら専務達が変わりは準備しないで良い旨を伝えたようで、準備はしていないようであった。そうなると、今いない杏樹の席はないことになる。
「立ち話もあれですから、座りましょうか。」
あやめの父の声で座ることになるが、その席順も指定してきた。
「君、先生にお酌をしなさい。」
と、なずなは白愁先生の横に座らされ、白愁先生の対面の席に座った雅輝の横には、ベッタリとあやめが座っている。顔にこそ出さない雅輝たが、仕切りに髭を押さえているため、なずなたちにはその苛立ちが伝わった。
「失礼いたします。」
襖を開けて入ってきたのは、薄紅色の着物に着替えた杏樹だった。
「本日、この席の司会をつとめます、ラポールの立花です。よろしくお願いいたします。」
雅輝は、そんな予定はなかったのにと思うがハッとして、席を立ち、杏樹の横に正座し、白愁先生に向かい直った。
「今回は、プレオープンまで、短時間にも関わらず引き受けていただきありがとうございます。」
揃って頭を下げる雅輝と杏樹に、あやめは嫉妬のような感情を抱く。
雅輝の表情から杏樹が咄嗟にしたことなんだと思いながらも、息のあった姿を見せられると悔しく思えたのだ。
「メインのお料理が来るまで、前菜をお楽しみ下さい。その間、箏の演奏をしばらくお楽しみ下さい。」
杏樹がメインの料理の準備が整うまでと、箏の演奏を初め、一堂が度肝を抜かれる。とても心地よい音色で、ずっと聞いていたくなるような、繊細でたまに力強い演奏だった。
杏樹は知らなかったようだが、白愁先生は箏の演奏を聞くのが好きで自分も演奏するのが好き。
あやめは嗜み程度にしか箏をしていないから、本当は自分が披露したかったのにと、心の中で思った。
曲が変わる度、杏樹に向かって拍手をおくる白愁の顔は穏やかで、誰もがこの演出に感動した。