俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
隣でギャーギャー騒ぐ二人を見て、この騒がしさが楽しかった。
うるさい!と華に怒られて、やっと落ち着いてご飯を食べれる。
話題は恭一の配属先と8月頭にある創立祭の事だ。
「あっ、お前来月から俺の下だから。グループホーム手伝え」
「げっ、」
「でっかい企業相手だし、お前の顔使っていきたいんじゃね?御愁傷様」
「チッ、」
「クククッ、敬語使えよー」
「…………」
不機嫌を隠そうともしない恭一の表情が面白くて、ニヤニヤ口許が緩む。
「杏?創立際の服は決まった?今年は50周年記念でホテルオーラルだって言ったわよね?ちゃんと可愛くしてくるのよ?」
そうなのだ。
毎年この創立祭のときは会社全体が集まりちょっとしたパーティーが行われる。今年は50周年という事で親しい関連企業も数社呼んでの大がかりなパーティーだ。
そこそこのフォーマルな装いをしていかねばならない。
「この前買ったあのワンピースを着ていこうと思ってます。それくらいしかありませんしね」
「そうね、あのワンピース可愛かったもの。美容院までは良いと思うけど、その前に私が行くわ。一緒に行きましょうね」