俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
誕生日のレストラン用に買ったのは黒のホルダーネックのワンピースだ。首の後ろで結ばれた大きめのリボンが可愛くて一目で気に入った。
あれ以来着る機会も無いし、いい出番だろう。
「却下」
低い声でいい放ち、恭一の眉間に皺がよる。
「えっ?なんでですか?私他に持ってないですよ?」
「良いじゃない。あのワンピース私も着たところ見てないし、見たいわ杏?ちゃんとコンタクトしてね」
「えーーー。俺も見たいー笠原のお洒落バージョン。可愛いんだろうなー」
華の嬉しいお願いに『私も華ちゃんに見てほしいです!』と、即答し、加藤の期待に応えるのは難しいだろうと苦笑する。
同期同士で和やかに話は進む。
隣で一人不貞腐れている恭一をほって。
「チッ、━━━あれは駄目だ。服は俺が何とかするから待ってろ」
「いや、別に何とかしてくれなくても良いですが」
してもらう意味が分からない、と頭を傾けて恭一の申し出を一掃すると、華がにやりと爆弾を落とした。
「杏?小早川君はね、あのワンピースは杏が可愛すぎて他の人に見せたくないんですって。で、好きな女の子を着飾らせて自分好みに染めたいって言ってるのよ。うふふふふ、買って貰ったらいいんじゃない?」