俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
「わりぃ。やり過ぎた、大丈夫か」
声をあげる事も出来ずに首を横に降る。
ドキドキする胸を押さえながら、少しずつ気持ちを落ち着けた。
冷静になるにつれ、今の自分の状況を判断する。
ちょっと待って、今外、よ…ね。
えっ?時間、終電……。
えっ、外で何して…………
いーーーーーやーーーーー!!!
「ここここここ小早川君!わ、私外で何てことを!!時間!終電!」
「ククッ、落ち着けよ。ここで流されないのが杏だよな。ハハッ。がっついて悪かったな。送ってく、タクシー捕まえるぞ」
背中を撫でていた手が、そのまま軽く2度叩き、チュッとリップ音をたててキスをして、慌てる私を見て楽しそうにしながら漸く膝から下ろしてくれた。
言いたいことは言った。
恭一も、特に何も言わないが分かってくれたと思う。
ただ、こうしたときにどうしたらいいのかさっぱり分からない。
ちゃんとした答えを出すべきか、なりゆきに任せてよいものか。
ベンチを立って手を差し出してくれる恭一の手を取ろうとして、少し考える。
「小早川君、私こんな中途半端でこの手をとっても大丈夫ですか?」
「━━━杏は、今この手がなくなったら寂しいか?」
私に伸びるこの柔らかな手が、温もりがなくなる?
「━━━……寂しい、と、思う」
じゃあ、と言いながら手を伸ばして私の手を掴むとそのまま引っ張りあげられて、
わっ、と驚いて立ち上がりそのまま恭一を見上げる。
「掴んでろよ。今はまだそこでいい。他に触られるのは嫌で、俺に触られるのが安心する、なんて俺からしたら殺し文句だよ。ちゃんと杏が気づくまであと少しだ。待っててやるから、だから、離すな」